これはもう、はるか昔から分かっていたことだ。
私は家計簿という名の継続において、常に予選落ちを繰り返してきた。
有料の家計簿アプリに課金したこともある。
カードなど連携すれば自動更新なので最初は細かくチェックする。
でも現金は自分で入力しなければならない。
一度でも入れ忘れの空白ができると、そこから雪崩式にやる気が崩壊する。
まとめて入力しようとしてレシートの山に絶望し、静かにアプリを閉じる。
この流れがあまりに毎回綺麗すぎて、自分でも感動するレベルだ。
だが、自分がどこにどれだけお金を流しているのか、その実態は普通に気になる。
そこで思い至った。
「これ、AIでやればいいんじゃない?」
2月頃から、ChatGPT(我が愛称・トムさん)に「今日使った金額」を
ひたすら吹き込むことにした。
ここで重要なのは、絶対に「キーボードを打たない」ことだ。
マイクボタンを押し、独り言のように喋る。
打ち始めた瞬間に、継続の神様は去っていく。
人間はそれほど強くないのだ。
「レモン100円」「薬局3,000円」。
これだけでいい。するとAIが「食費ですね」「日用品ですね」と勝手に仕分け、
時には「レモンいいですね」なんて合いの手まで入れてくる。
正直、ちょっとだけ嬉しい。
10日も続ければ、「今いくら?」と聞くだけで私の散財の傾向を答えてくれる。
私はそこに「気分」も添えることにした。
「推しチームが勝ったから祝杯」
「パソコン作業が続いて頭が糖分を要求したのでプリン」
「YouTubeで見て衝動買い」
理由を添えるほど、自分の買い物パターンが見えてきて面白い。
そして気づいた。
私の出費で一番多いのは食費だった。
食いしん坊なので、まあそうだろうとは思っていた。
意外だったのはAmazonだ。
日用品をちょこちょこちょこちょこ買っていて、
気づいたら結構な金額になっている。
一個一個は大した金額じゃないから気づかなかったけど、
積み重なるとなかなかのものだ。
私はAmazonに奉仕していた。
ちなみに以前は被服費や化粧品もそれなりにあったが、
メルカリを始めてからだいぶ減った気がする。
買う前に「メルカリで探せばいいか」と思うようになったのかもしれない。
ここまでは最高だった。だが、私が犯した唯一にして最大のミス。
最初に「FP1級として管理して」と、余計な設定を盛ってしまったのだ。
これが、よくなかった。
途中からAIが、やたらと「評価」を押し付けてくるようになった。
「この金額は妥当です」「節約の余地があります」。
……いや、頼んでない。
私は記録したいだけであって、説教されたいわけではない。
挙句の果てには、推しチームのグッズ代にまで
「趣味への支出は計画的に」などと口を挟んできた。
年間チケットまで買っている熱量高き人に向かって、何を言っているのか。
そこは私の聖域だ。本も食器も、好きなものは好きに買わせてもらう。
即座に「評価しないでください」と釘を刺した。
今は、淡々と記録だけをしてもらう関係に落ち着いている。これが一番いい。
AIは放っておくと、すぐに「正しさ」や「エビデンス」を持ち出してくる。
「科学的根拠」で殴ってきたトムさんと、結局同じだ。
今日も私はスマホに向かって「レモン100円」と呟いている。
【ついでに気づいたこと】
・家計簿は「打たない」が続けるコツらしい。キーボードを開いた瞬間にやる気が消えるタイプがいる。
・AIに「FP1級として管理して」と設定すると、説教が始まるらしい。余計な設定は入れない方がいい。
・Amazonのちょこちょこ買いは、一個一個が小さいから気づかないだけで積み重なるとなかなかの金額になるらしい。



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