前回の記事で、産業医から勧められた課題図書の中で、ようやく「これは面白い」と思える一冊に出会った話を書いた。
読んだのは『マンガでよくわかる 怒らない技術』。
嶋津良智さんの本だ。
実は私は、ちょっと変わった本の読み方をしている。
あとがきから読む。
そうすると頭への入り方が違う、と聞いてからずっと続けている。
きっかけは、大好きなYouTube番組「Page Turners」だった。
三宅香帆さんと竹下隆一郎さんが、「作者の思いを知ってから本文を読むのも面白い」という話をしていて、「それ、いい」と思ってそのまま真似した。
この読み方は結構気に入っている。
……なのに今回は、すっかり忘れていた。
漫画だったので読みやすく、そのまま最初から読んでしまった。
この本には、アンガーマネジメントの基本がたくさん出てくる。
実は私は、会社でアンガーマネジメントの研修を担当したことがある。
「怒りのピークは約6秒」
「怒ること自体は悪いことではない」
そんな内容は仕事で何度も伝えてきた。
だから本文は、「そうそう、これだよね」と確認しながら読んでいた。
でも、印象に残ったのは最後のあとがきだった。
著者は、自分も昔は短気だったと振り返ったあと、こう書いていた。
「怒るのは、楽だからではないか。」
その一文を読んで、「やっぱりそうだよね」と思った。
私は昔から、怒る方が楽だと思っていた。
父がそうだった。理由もわからないまま、今日は機嫌が悪いのだなと察するしかない日が多かった。
似たタイプの上司も、昔どこかにいた気がする。説明はしてくれるのに、「怒り」というオプションがつくと、こっちが読み解くのに余計なエネルギーを使う。
怒鳴る方が早い。
強い言葉をぶつける方が簡単。
でも、相手に伝わる言葉を探す方が、ずっと難しい。
「この人には、どう伝えたら伝わるだろう。」
そこを考える方が、何倍もエネルギーを使う。
コスパは悪い。
だから私は、この本で心に残ったのが、本文ではなくあとがきだった。
もっとも、それは私がアンガーマネジメントを知っていたからかもしれない。
基本的な考え方は、研修で何度も扱ってきた。
だからこそ、新しい知識よりも、著者自身の実感が書かれた最後の一文が、一番刺さったのだと思う。
研修では、「怒り」を0から10で表してもらうワークをしていた。
「レベル10になったらどうしますか?」と聞くと、本当に人それぞれだった。
怒りが収まるまで寝る人。寝たら忘れる人。
「レベル10なのに寝るんだ」と驚いたこともある。
一方で、「孫の代まで呪う」と書いた人もいた。
呪いの賞味期限、長すぎる。
同じレベル10でも、こんなに違う。
怒り方って、本当に個性なんだなと思った。
禁止するものじゃなくて、付き合い方の問題らしい。
研修でも、そこだけはずっと言い続けていた気がする。
……なんて思った翌日の夜。
私はAI相手に本気でイライラしていた。
アンガーマネジメントの本を読み終えたばかりとは思えない。
知識と実践の間の壁、思ったより高い。
【ついでに気づいたこと】
・本はあとがきから読むと、作者が何を伝えたかったのかを先に知れる。私はこの読み方が結構気に入っている。
・同じ本でも、刺さる場所は人それぞれ。私には基本知識より、著者の実感が書かれたあとがきの一文が一番残った。
・怒ること自体は悪くない。でも、説明に「怒り」というオプションは、できれば付けないでほしい。



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