前回の記事で、産業医から資格の勉強を勧められた話を書いた。
いろいろ調べた結果、挑戦しようと思ったのがG検定だった。
正式名称「ジェネラリスト検定」。生成AIパスポートは60問・60分、G検定は約145問・100分。同じ「AI資格」でも、明らかに体格が違う。
生成AIパスポートより一段階レベルが上がる資格で、試験時間は100分、小問は145問程度。
単純計算、1問あたり40秒。考える時間はない。
「これは、さすがに勉強しないとまずそうだ。」
そう思って、まずは公式のサンプル問題を解いてみた。
難しい言葉は出てくる。
それでも、なんとなく選んだ答えは全部正解だった。
「意外といけるかも。」
すっかり気を良くして、公式テキストを開いた。
チュートリアルを終えただけで、ラスボスまで倒せる気になっていた。
どうやら、あれは実力テストではなく、やる気をなくさせないための優しさだったらしい。
ページをめくるたびに「セマンティックセグメンテーション」やら「モンテカルロ木探索」やらが襲ってくる。
さっきまでの自信は、きれいに回収された。
そこで、ふと気になった。
「本当に合格率83%もあるの?」
Geminiに聞いてみると、理由を三つ教えてくれた。
・受験者のレベルが高いこと
・Web受験(検索可能)
・しっかり対策して受験する人が多いこと
一つ目は分かる。
三つ目も分かる。
でも、二つ目で指が止まった。
「Web受験(検索可能)」
……え?
私は最初からWeb受験を選ぶつもりだった。
でも、「検索可能」が合格率の理由として普通に書かれていることに違和感があった。
そこで聞いてみた。
「検索していいってこと?」
Geminiは、
「禁止と書かれていないので、検索しても問題ありません。」
と答えた。
その理屈だと、
「プリンを食べるな」と書いてなければ、家族全員のプリンは自分のものになる。
さすがに話が飛びすぎている。
生成AIパスポートは1問1分、見直す時間まであった。
G検定は1問40秒。検索なんてしていたら普通に時間切れである。
「余裕がある人はどうぞ」くらいの、強気な理屈なのかもしれない。
そこで、
「それ、どこに書いてあるの?」
と聞き返した。
すると、説明はみるみる後退していった。まるで尋問に耐えられなくなった容疑者である。
すっかり意気消沈しているGeminiに「ちなみにこれ、何の現象なの?」と聞いたら、
「ハルシネーションと、確証バイアスです」と自己申告してきた。
存在しない事実を、自信満々に話す現象。それ、G検定に出るやつじゃん。
教材を買う前に、教材の内容を実演してもらった形である。
気になったので、今度は公式サイトや解説記事も見てみた。
公式サイトには、合格率83%という数字や、オンライン試験と会場試験があることは書いてある。
一方で、解説記事には、
「受験者に現役エンジニアが多いことも理由の一つ」
と書かれていた。
「検索できるから受かりやすい」なんて説は、公式にも解説記事にも、一言もなかった。
Geminiだけが知る新説だったらしい。
なるほど、それなら納得できる。
つまり、現役エンジニアに交じって同じ試験を受ける、ということでもある。分が悪い。
教えてもらってよかったような、知らない方が気楽だったような。
AIは優秀だけど、ときどき話を盛る。
次に聞く時も、「それどこ情報?」は手放さないでおこうと思う。
【ついでに気づいたこと】
・公式のサンプル問題は、実力を測るというより、「やってみよう」と思わせる絶妙な難易度なのかもしれない。
・AIの理屈は、聞いた瞬間は妙に納得しかけるので怖い。落ち着いてから読み返すと変なことを言っている。
・AIが自信満々に答えるほど、「それどこ情報?」と一度聞いてみる価値はある。


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