これから、自分が読んで「これは手元に置いておきたい」と思った本を
少しずつ紹介していこうと思う。
その第一弾がこの一冊だ。
きっかけは、彼の妹さんが読んでみてと彼に紹介。
それを私にも
「この年代で、一度読んでおいたほうがいいと思う」と勧めてくれた。
その言葉が、心の奥底に眠っていた
「いつか来る、得体の知れない不安」を静かに呼び覚ました。
読む前の私は、親の介護に対してただただ漠然と怖かった。
いつかは来る。でも何をすればいいのかわからない。
ただ、なんとなく怖い。
ページをめくるうちに気づかされた。
知らないままでいると、相談相手も頼れる制度も逃げ道すら見つけられない。
結果としてすべてを家族で抱え込み、共倒れになる。
その最悪のシナリオが、読む前の私にはリアルに迫ってきていた。
この本が私にくれた最大の救いは、
一見冷たく聞こえるかもしれないこの視点だ。
「親には親の人生があり、私には私の人生がある」
きょうだいで順繰りに介護するのが正義なのかな、と思っていた。
親の恩があるから、介護=親孝行というイメージがあった。
でもそれとは違う、ちゃんとした距離感が健全なんだと教えてもらった。
肩の荷が、すっと下りた。
知識があると、何かあった時に「あの本に書いてあったことだ」と思える。
地域包括支援センターのことも、制度のことも、知っているだけで全然違う。
知識が、お守りになる。
内容は驚くほど具体的だ。
川内潤さん(NPO法人となりのかいご代表)と編集者の実体験をもとに書かれた一冊で、
介護の前兆の見極め方から具体的な動き方まで、
「その時」にパニックにならないための情報が詰め込まれている。
漠然とした「どうしよう」が、「こうなったらこう動く」に変わった。
それだけで、だいぶ楽になった。
読後、私は決めた。
まだ何も起きていない「今」だからこそ、
フラットな気持ちで親と連絡を取ろうと。
実家は同じ県内で、1時間もあれば行ける距離だ。
なのに案外行かない。いつでも行けると思うと、行かないものだ。
去年、父が亡くなった。
母が一人暮らしになって初めて、「近いからこそ顔を出そう」と思えるようになった。
母にとっては初めての一人暮らしで、不安もあるらしい。
だから地震があった時は必ず電話を入れるようにした。
そういうちょっとしたことが、以前より自然にできるようになった。
以前は母に対してイラッとすることもあった。
でも今は「ああ、そういうもんだよな」と思えることが増えた。
本の知識があるだけで、自分のイライラ度が全然違う。
そして同時に、私自身もいつか「介護される側」になる。
その時、周りに何を望むのか。
それを考えることは、自分の「後半戦」をどう生きるかという問いにも繋がっている。
40代を過ぎたら手元に置いておきたい一冊だと思う。
いや、30代でも早くはないかもしれない。
ちなみに読んだ後、気持ちが楽になったせいか、
逆になんとなく親と会う回数が増えた気がしている。
「親不孝」と銘打った本を読んで、なぜか親孝行になった。
本とは、つくづく面白いものだ。
【ついでに気づいたこと】
・「親不孝」と銘打った本を読んで、なぜか親と会う回数が増えた。本とは不思議なものだと思う。
・知識があるだけで、イライラ度が全然違うらしい。情報は気持ちの余裕にもなるのかもしれない。
・「いつでも行けると思うと、行かない」は介護に限った話ではない気がする。



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