はっきり言う。
私はラーメンがあまり得意ではない。
嫌いとまでは言わない。
50年生きてきて、1〜2店くらいは「ここは好きだな」と思う店もできた。
ただ、自分から「ラーメン食べに行こう」と言ったことは、ほぼない。
このあたりの経緯には、ちゃんとした理由がある。
子供の頃、近所にラーメン屋があった。
愛情とこだわりを全力で省いたような店で、
ある日、お父さんが店着をきたまま麺をスーパーで買っているのを目撃した。
出前を頼むと、届く頃には麺が見事に伸びていた。
毎回。例外なく。
味も、なんとなく毎回違う気がした。
一口もらうたびに「あれ?」となった。
なのに家族は「美味しい」と食べていた。
子供心に「大人って、なんでも美味しいって言えるんだな」と
妙な感心をしたのを覚えている。
5人家族の中で、この店に疑問を持っていたのは私だけだった。
他の店でも中華屋さんに行けば、みんながラーメンを頼む中、
私だけチャーハンという安全地帯に逃げ込んでいた。
今も基本的にそのスタイルは変わっていない。
そんな私が、今年も行く。
仙台・長町で開催されるラーメンフェスに。
3年連続で。
きっかけはもちろん、彼氏だ。
ラーメンを愛してやまない人と付き合っている。
なかなかの組み合わせである。
毎月通っているマッサージ屋さんの担当さんも
筋金入りのラーメン好きで、
この2人はラーメンフェスがあってもなくても
いつも情報交換をしている。
直近もマッサージを受けに行ったのだが、
案の定ミーティングが始まっていた。
パンフレットも何もないのに、
2人で店名をすらすら言い合っている。
揉みほぐされながら、めちゃくちゃ嬉しそうに。
「金曜日から始まるんですよ、私は初日に行きます」
私はその熱量を、遠い目で眺めていた。
去年は面白いことがあった。
会場でたまたま担当さんとバッティングしたらしく、
後日こう言われた。
「彼氏さん、めちゃくちゃ嬉しそうにラーメン食べてましたよ。
あんな顔、見たことないくらい」
そうでしょうね、と思った。
ほっておいたら私はラーメンを年に1〜2回しか食べない人間なので、
彼氏にとってラーメンフェスは念願の場所なのだ。
ちなみに今年、彼氏は言った。
「1回じゃ勿体なくない?」
遠い目になった。
そんなわけで、今週末おそらく行く。
連れて行かれる。
ラーメンが好きじゃない私が、
長町のラーメンフェスで何を見て何を思うのか。
後編に続く。
【ついでに気づいたこと】
・ラーメン好きな人は、パンフレットがなくても店名をすらすら言えるらしい。そういう記憶の使い方があるんだと思う。
・ラーメンが得意じゃない人間でも、3年連続で行く理由ができることがある。だいたい隣にいる人のせいだと思う。
・子供の頃に「なんか違う」と思ったことは、大人になっても意外とそのまま残っているらしい。


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