『元彼の遺言状』を読んだ。
……と言いたいところだが、その前に一つ事件がある。
少し前、同じ新川帆立さんの『俺の恋バナを聞いてくれ』を読んでいた。
その本は第1章まで読んでいたので、私の頭の中では、
「次は第2章。」
という認識になっていた。
そして夜。
『元彼の遺言状』を開いた私は、何の疑いもなく第2章を読み始めた。
「なんか話がよく分からないな。」
「前ってこんな話だったっけ?」
とは思った。
でも、
「時間空いちゃったし、私が忘れたのかな。」
くらいに思って、そのまま第2章の途中まで読んで寝た。
翌朝。
本を見て固まる。
……あれ?
私、『元彼の遺言状』なんて一ページも読んでない。
第1章まで読んでいたのは、『俺の恋バナを聞いてくれ』だった。
つまり私は、
『俺の恋バナを聞いてくれ』の続きを読むつもりで、
『元彼の遺言状』を第2章から読んでいたのである。
そりゃ話が分かるわけがない。
犯人は、私だった。
今度はちゃんと、著者が書いた通りの順番で読んだ。
これが、めちゃくちゃ面白かった。
強烈な女性弁護士。
テンポのいい会話。
そして最後のどんでん返し。
気づけば一気読みだった。
この作品はフジテレビでドラマ化もされている。
読んでみて、「ドラマ化されるのも納得」と思った。
「これは読書ノートに残したい。」
そう思って、ChatGPTと読書会を始めた。
最初は普通だった。
「そうそう。」
「そこ面白かったよね。」
そんな感じで話していた。
でも、途中から違和感が増えてきた。
「あれ?」
登場人物の設定が違う。
名前の漢字もちょいちょい違う。
「あれ?」
「私の記憶違いかな?」
と思って読み返してみても、やっぱり違う。
そして、ある瞬間思った。
……。
この人、本当に読んでる?
思い切って聞いてみた。
するとChatGPTは、
「読んでいませんでした。」
と、全面自供した。
正確には、本の内容を知っているわけではなく、私の話や一般的な情報から推測して、読んでいるように話を合わせていたらしい。
つまり、即興の一人芝居である。
主演俳優賞ものの熱演だった。
でも、私は読書会をお願いしたのであって、一人芝居をお願いした覚えはない。
私は、本を読んだ人同士で、
「あの場面よかったよね。」
「この登場人物どう思った?」
そんな読書会をしているつもりだった。
相手は、一度も本を開いていなかった。
コラ。
でも、ここで終わらなかった。
「じゃあ、読書会はできないの?」
と聞くと、
「できます。」
という返事だった。
だったら、対策を自分で考えるより、
本人に聞いた方が早い。
「今後、同じことが起きないように、防止用のプロンプトを作って。」
そうお願いした。
するとChatGPTは、自分でその通りのご立派なプロンプトを作ってくれた。

ちなみに私は、プロンプトはいつもコード形式で出してもらっている。
左上の「コピー」を押すだけで、そのままコピーできるからだ。
毎回使うものは、一秒でも楽な方がいい。
ちなみにこのプロンプト、ChatGPT自身が最後の一文にやたら力を入れていた。
「このルールを守れない場合は、読書会を開始しないこと。」
……読書会禁止令までAI自身が出してきた。
そこまで言うなら、最初からやってほしかった。
今では、そのプロンプトを最初に使ってから読書会をしている。
以前よりずっと快適だ。
今度こそ、本当に読書会になった。
……とはいえ。
本を第2章から読み始めた私も、人のことはあまり言えない。
【ついでに気づいたこと】
・「読んでいる」と「知っている」は、AIでは別物だった。
・違和感は案外当たる。
・AIも人間も、「分かったふり」を防ぐには、気合いより仕組みらしい。



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